剣道の稽古で「絶対にやってはいけない叱り方」と「振り返るべき点」を解説!
私の道場では、子どもに対して厳しく指導する教育方針です!
そうなんですね!では、子どもは先生の思った通りに成長していますか?
うーん、いつも同じことを怒っているなぁ。。
最近、怒ってもケロッとしてる感じもするし。。。
剣道の稽古で子どもを叱る場面は何度かあるはずです。適切な場面で叱ることは、子どもの成長のために必要なことです。
しかし、正しく叱らなければ、子どもにとっても指導者にとっても良いことがありません。
今回は剣道の稽古で「絶対にやってはいけない叱り方」と「振り返るべき点」を解説します。剣道指導でお悩みの指導者の方の参考になれば幸いです。
- 剣道の稽古で叱る本来の目的
- 絶対にしてはいけない叱り方
- 指導者が振り返るべき点
- 子どもを叱っても効き目がないように感じる先生
剣道の稽古で叱る本来の目的
まず、稽古中に子どもを叱る目的を今一度考えてみましょう。叱る目的は指導者の言うことを聞かせるためです。
ではなぜ指導者の言うことを聞かせるのか。それは剣道を通じて子どもに成長してもらうためです。
剣道の稽古における成長とは何かというと、それは剣道の理念そのものですね。
「剣の理法の修練による人間形成の道」
すなわち、叱ることによって人間形成の手助けをしなければならない訳です。
逆に言うと、人間形成を妨げるような叱り方はあってはならないと言うことです。
では人間形成を妨げるような、してはいけない叱り方を見てみましょう。
絶対にしてはいけない叱り方
子どもによって態度を変える
あの子には優しいのに、あの子には厳しい。これは子ども側も気づいています。
もちろん、きちんと反省する子と全く反省しない子では、叱る頻度が変わってきて当然です。
ですが、同じことをやっているのに子どもによって態度を変えるのは、子どもからの信頼が失われます。
特に女の子には優しいけど、男の子には厳しいなどはよくあることかと思います。
それぞれの子どもの性格や特性を踏まえて指導する場合は良いですが、無意識でやってしまっている場合は要注意です。
子どもを馬鹿にする、軽んじる
大人が真正面から子どもと向き合わないと、子どもは大人に対して、「自分のことはどうでもいいと思っている」、「気にかけてくれていない」と感じてしまいます。
そして、そのように扱われた記憶は一生残ります。
すると、その子は人によって態度を変えたり、目下の人を馬鹿にしたりするような人間となってしまいます。
「人間形成の道」とはほど遠いですね。
恐ろしい指導をしているということがわかるかと思います。
毎回怒る
自分の立場に置き換えて考えてみましょう。
毎日怒る上司がいる会社に行きたいと思うでしょうか。
昔はよかったかもしれませんが、今はそういう時代ではないですよね。
また、「怒る」と「叱る」は微妙にニュアンスが違います。
「怒る」
1 不満・不快なことがあって、がまんできない気持ちを表す。腹を立てる。いかる。「真っ赤になって―・る」2 よくない言動を強くとがめる。しかる。「へまをして―・られた」
「叱る」
goo国語辞典
目下の者の言動のよくない点などを指摘して、強くとがめる。「その本分を忘れた学生を―・る」
「怒る」の方が感情が入っていることに気づくと思います。
感情に振り回されて「怒る」指導者からは、グッと堪えて踏ん張ることの大切さを学べません。
また、子どもは賢いですから、毎回怒ると慣れてしまいます。
すると、指導者が普通に伝えても怒って伝えても違いがなくなります。
私の経験上でもこんなことがありました。
とある先生が小さい子たちに対して、いつも怒っていました。
初めはその子たちも先生の言うことを聞いていたものの、だんだん言うことを聞かなくなってきました。
すると、先生はさらに声を上げて怒るようになりましたが、やはり子どもたちは先生の言うことを聞くのが難しい状態になっていました。
こういう状態になってしまうと、指導者の負担が大きくなります。
いつでも怒ることは、子どもにとっても指導者にとっても良くありません。
指導者が振り返るべき点
絶対にしてはいけない叱り方はやってないから大丈夫だ、安心安心
ちょっと待ってください!
ご自身では気づいていないだけかもしれないので、もう一度よく自分の指導を振り返ってみましょう。
感情的になっていないか
感情に任せた指導は、指導者のストレス発散に留まっていて、子どもに伝わるものは恐怖以外無いかもしれません。
自分の感情をしっかりと制御して、「怒る」ではなく、「叱る」を実践しましょう。
「できていない」と「聞いていない」を混同していないか
教えた通りに子どもが実践できていないと、「なぜできないのか」、「さっきの話を聞いてなかったのか」と子どもに問い詰める場面を、私自身よく目にしてきました。
稽古に真面目に取り組んでおらず、話を聞いていないなら叱るべきだと思います。
ただ、先生の言っていることを聞いてはいるものの、実行することができないのならば、話は変わってきます。
子どもにとっては、「言われた通りやってるのになんで怒られるのか。どうしたらいいのか分からない。」といった気持ちに陥ってしまいます。
ここで反省すべきは指導者サイドです。
「できていない」の原因は、子どもが「聞いていない」のではなく、「指導者の説明が子どもにとって分かりにくい」ためです。
一つ例をあげましょう。
とある稽古で、切り返しの指導をしています。
子どもたちの左右面を打つ際の振りかぶりが小さいです。
どう指導しますか?
振りかぶりなさい! 相手が見えるところまで振りかぶりなさい!
よくある指導ですよね。 なのにいくら言っても治らない。
何度言ったらわかるんだー!!
完全に負のスパイラルです。。
そんな時、いつもとアドバイス方法を変えて次のように言うと、子どもたちは振りかぶりが大きくなりました。
「脇を相手に見せなさい」
子どもたちはすでに大きく振りかぶってるつもりなのに、もっと振りかぶれと指導されても、どうしようもないわけです。
そこで新たな視点、「脇を見せる」と助言することで、子どもたちは発見ができたわけです。
「本当に聞いていない」のか、それとも「分からなくてできていない」のか、よく観察しましょう。
信頼を築けているか
指導者も人間ですから、間違ってしまうことはあります。
時に感情的に指導してしまっても、子どもとの間で信頼関係が築けていれば、子どもたちも分かってくれます。
信頼は長時間かけて築くものです。
焦らず、親身に真剣に向き合って、本当の意味で良い指導者を目指しましょう。
まとめ
今回は稽古で叱る注意点を紹介しました。
叱る本来の目的は子どもたちの人間形成の手助けです。
絶対にしてはいけない叱り方は次の3つです。
- 子供によって態度を変える
- 子供を馬鹿にする、軽んじる
- 毎回怒る
指導者が振り返るべき点は次の3つです。今までの指導を振り返ってみましょう。
- 感情的になっていないか
- 「できてない」と「聞いてない」を混同していないか
- 信頼関係を築けているか
子どもが頭も技術も成長できるように、指導者は全力で伴走しましょう!
以上、ケンドーショーダンでした。