【初段受験】日本剣道形1本目〜3本目の重要ポイントを解説!
日本剣道形1本目〜3本目で、ここが一番大切!というところを紹介します。
現在、一級審査では「木刀による剣道基本技稽古法」を行うこととなっていて、初段で初めて「日本剣道形」を行うこととなります。
剣道の動きと似ているようで違う動作があり、剣道と全く別ものと考えがちですが、動作の理由を考えると剣道にも通ずるところばかりです。
深いところまで追究すれば、注意点はたくさん出てきますが、今回は初心者が必ず押さえるべき点を紹介します。
初段合格に必要な本数ですので、ぜひマスターしましょう!
- 日本剣道形1本目〜3本目の動きとポイント
- 昇段審査を控える方(特に初段を受験する方)
- 初段受審者を教える指導者
- 日本剣道形を学び直したい方
YouTubeチャンネルの「剣道昇段塾」では、日本剣道形や学科を解説しています。こちらもご参考にしてください。
日本剣道形1本目
1本目は「面抜き面」です。打太刀と仕太刀を分けて、以下で解説します。
打太刀の動き
- 左足を前に出しながら左上段をとる。
- 左、右、左の順で足を出して前進する。
- 右足を前に出して、相手の面を打ちにいく。すると、相手に避けられるので、剣先が下までいく。
- 相手に面を打たれたら半歩下がる。
- 相手に剣先を眉間につけれたら半歩下がる。
- 相手の残心を見届けた後に、ゆっくり中段に構える。
打太刀のポイント
左上段の取り方
打太刀は左足を出しながら左上段をとります。
所定の位置に上から拳を置くようにして、大きく構えましょう。
切り合う間合い
左、右、左の順で足を出して間合いに入ります。
この時の間合いが超重要です!!
振り下ろすと、相手の左手や頭を切ることのできる間合いに入りましょう!!
この間合いに入らないと、打太刀の「ヤー」での打ちが、ただの空振りとなってしまい、緊張感が無くなってしまいます。
打太刀が本気で切りに行くからこそ、打太刀の切り終わりは前傾の姿勢となります。
仕太刀の柄もろともに打ち下ろす気構えが大切で、打ち下ろした剣先は、下段の構えよりもやや低くなる。
日本剣道形解説書
正しい間合いに入ることで、理合いの伴った動きとなります。
仕太刀の動き
- 足はそのままで右上段をとる。
- 右、左、右の順で足を出して前進する。
- 相手が面を打ち込んでくるので、左足から1歩下がって面を避ける。
- 右足を出して面を打ち込む。
- 相手が半歩下がるので、眉間に剣先をつける。
- 相手が半歩下がるので、左足を前に出して、左上段に構える。
- 相手が刀を上げ始めたら、左足を右足の後ろにもっていきながら中段に構える。
仕太刀のポイント
右上段の取り方
仕太刀は右上段を取ります。
通常の振りかぶりの要領で左拳をおでこの上までもってきましょう。
この時、足を動かす必要はありません。
注意点は、通常の振りかぶりのように剣先を後方にもっていきすぎないことです。
よく「拳よりも剣先が下がらないようにする」と表現されます。
イメージとしては剣先を天井に突き刺すくらいの角度で、右上段をとりましょう。
切り合う間合い
右上段の体勢のまま、右、左、右で前進して間合いに入ります。
仕太刀も打太刀と同じように、切られる間合いに入ることが重要です。
打太刀が面を打ってくるので、左足から1歩下がって面を抜きます。
この時、切られるギリギリの間合いで抜くので、下がる際に左拳を「おでこの上」から「頭上」まで引き上げて大きく抜きます。
さらに高い天井に刀を突き刺すイメージです。
ちゃんと抜かないと、左拳もろとも面と一緒に切られてしまうので、大きく抜きましょう。
日本剣道形2本目
2本目は「小手抜き小手」です。打太刀、仕太刀を分けて、以下で解説します。
打太刀の動き
- 中段の構えのまま、右、左、右の順で足を出して前進する。
- 振りかぶって小手を打つ。
- 相手が打ち終わったら、触刃の間合いまで左足から戻る。
打太刀のポイント
切り合う間合い
1本目と同様、間合いが大切です。
刀を解くときは、刃が僅かに交わる「触刃の間合い」となりますが、切り合う時の間合い、すなわち、大きく3歩前進した後の間合いは、「一足一刀の間合い」となります。
この間合いとなることで、打つ打たれるの緊張感が生み出されます。
小手を打つ高さ
「一足一刀の間合い」に入ったら、大きく小手を打ち込みます。
相手の小手を本当に切り落とす動作となるので、打ち終わった状態では相手の小手よりも自分の剣先の高さが下になります。
大技で仕太刀の右小手の位置より、わずかに低く打つ。
日本剣道形解説書
仕太刀に小手を打たれたら、左足から下がって「触刃の間合い」に戻りましょう。
仕太刀の動き
- 中段の構えのまま、右、左、右の順で足を出して前進する。
- 相手が小手を打つときに、左足を左後方に下げ、同時に剣先を下げる。
- 相手の打ち終わりに対して、右足を前に出して小手を打ち込む。
仕太刀のポイント
切り合う間合い
打太刀と同様、「一足一刀の間合い」まで前進しましょう。
きちんと、「小手抜き」が成立する間合いに入りましょう。
小手の抜き面
打太刀が小手を打ち込んでくるので、左足を左後方へ下げながら、剣先を下げます。
剣先は常に自分の中心に置いたまま、真下に下げてください。下段のような形です。
最後に小手を大きく打ち込んでください。
打ち終わりは、仕太刀のみが相手の中心を取っている状態です。
触刃の間合いに戻る時は、右足から戻りましょう。(右足からしか戻れないはずです。)
日本剣道形3本目
日本剣道形3本目は「突き萎やし突き」です。
日本剣道形3本目は剣道形の中で一番難しいと言っても過言ではありません。
初めのうちはゆっくり一つ一つの動作を確認しながら取り組みましょう。
打太刀の動き
- 下段をとり、右、左、右の順で足を出して前進する。
- ゆっくり中段になるまで剣先を上げる。
- 中段になったら、右足を出しながら相手の「みぞおち」を突く。
- 相手が突くので、右足を下げて刀を下から裏に回す。
- 相手がもう一突き(気あたり)するので、左足を下げて刀を下から表に回す。
- 相手が間合いを詰めるので、刀を開きながら左、右、左の順で足を下げて後退する。
- ゆっくり中段の構えに戻り、右、左、右の順で足を出して前進する。
打太刀のポイント
突く場所
打太刀が突く場所は、相手の「みぞおち」です。
水月と呼ばれることが多いですが、よく分からないと思うので、みぞおちを突くと覚えましょう。
みぞおちは胸と臍の間くらいで、意外と低い位置にあり、突いたときに木刀は水平に近い傾きになります。
足と木刀の動き
「ヤー」で仕太刀のみぞおちを突くときは、右足をすり足で前に出し左足を引き付けます。剣道と同じ足です。
そして仕太刀が「トー」で突き返してくるときは、右足を左足の後ろに下げます。
木刀は下から裏に回して相手の突きに応戦します。
この時は互いに中心を取り合っています。
もう一回相手が突いてくるときは、前に出ている左足を右足の後ろに下げます。
木刀は下から表に戻して相手の突きに向かいます。
このときは相手に中心を取られています。
すると、仕太刀が剣先を顔に付けて近づいてくるので、打太刀は後ろにある左足から下がり、左、右、左の順で足を後ろに下げます。
最終的には、左足後ろ、右足前で、相手の剣先が自分の眉間に付けられた状態となります。
そして、仕太刀が2歩ゆっくり下がったら、打太刀も合わせて右、左、右の順で足を出して、前進して、元の位置に戻ります。
足だけに着目すると、以下の通りとなります。
- 「ヤー」で右足を前に出して左足を引き付ける。
- 「トー」と突かれたら右足を下げる。
- もう一度突かれたら左足を下げる。
- 仕太刀が前にくるので、左、右、左の順で足を下げて、左足後ろ、右足前の状態になる。
- 仕太刀が2歩下がったら、仕太刀が下がるのに合わせて右、左、右の順で足を出して前進し、元の位置に戻る。
仕太刀の動き
- 下段をとり、右、左、右の順で足を出して前進する。
- ゆっくり中段になるまで剣先を上げる。
- 中段になったら相手が突くので、左足を下げながら突きを萎やす。
- 右足を出しながら、相手の胸を突く。
- 左足を出しながら、もう一度突くかのように前進する。
- 右、左、右の順で足を出して前進しながら、剣先を相手の眉間につける。
- 左、右、左、右、左の順で足を出して下げ、歩み足でゆっくり中段の構えに戻りながら元の位置に戻る。
仕太刀のポイント
突きの萎やし方
打太刀が「ヤー」と突いてくるので、左足を下げて右足を引きつけて、突きを萎やします。
相手の刀を中心から外し、自分の刀は中心を取ります。
この時、左拳が中心から外れないようにしましょう。
突く場所
そして、「トー」と突き返すときは右足を出して、左足を引きつけます。
この時、仕太刀が突き返す場所は、打太刀の「胸」です。
すなわち、打太刀が突く高さよりも高い場所を突き返すことになります。
足の動かし方
胸突きから、もう一度突く(前進する)ときは、左足を前に出します。
そして、右、左、右の順で足を出して、剣先を相手の眉間へともっていきます。
その後、後ろにある左足から下げて、右、左、右、左の順で足を下げて、元の位置に戻ります。
すなわち、「トー」の突きより後は全て歩み足の順で足を動かします。
足だけに着目すると、以下の通りとなります。
- 「ヤー」で突かれたら、左足を下げ右足を引きつけて、突きを萎なす。
- 「トー」で右足を出して左足を引きつける。
- 左足を出して突き(気あたり)、右、左、右と足を出して前進する。
- 残心を示したのち、左、右の順で下がり、さらに左、右、左の順で下がる。
動きの覚え方〜番外編〜
3本目は何段に昇段しても難しいです。
ただ工夫をすれば、覚えやすくすることができます。
仕太刀はこれで覚えてしまいましょう!
打太刀が「ヤー」とついたときに、仕太刀は心の中で「ありがとう」と呟きます。
そして仕太刀が「トー」と突くとき、心の中では「こんにちは」と呟きます。
続いて仕太刀が左足を前に出してもう1本突くとき、心の中では「こんばんは」と呟く、といった流れです。
日本剣道形は昔から受け継がれたものですので、「現代とかけ離れたもの」と中学生くらいだと感じてしまいます。
より身近な表現に変えて、分かりやすくしてしまいましょう!
まとめ
今回は日本剣道形の1本目から3本目までの動きとポイントを紹介しました。
1本目の動き方は以下の通りです、
打太刀
- 左足を前に出しながら左上段をとる。
- 左、右、左の順で足を出して前進する。
- 右足を前に出して、相手の面を打ちにいく。すると、相手に避けられるので、剣先が下までいく。
- 相手に面を打たれたら半歩下がる。
- 相手に剣先を眉間につけれたら半歩下がる。
- 相手の残心を見届けた後に、ゆっくり中段に構える。
仕太刀
- 足はそのままで右上段をとる。
- 右、左、右の順で足を出して前進する。
- 相手が面を打ち込んでくるので、左足から1歩下がって面を避ける。
- 右足を出して面を打ち込む。
- 相手が半歩下がるので、眉間に剣先をつける。
- 相手が半歩下がるので、左足を前に出して、左上段に構える。
- 相手が刀を上げ始めたら、左足を右足の後ろにもっていきながら中段に構える。
打太刀、仕太刀ともに、まずは打てば届く間合いに入りましょう。
間合いで緊張感を作ることができ、抜き技にキレが生まれます。
2本目の動き方は次の通りです。
打太刀
- 中段の構えのまま、右、左、右の順で足を出して前進する。
- 振りかぶって小手を打つ。
- 相手が打ち終わったら、触刃の間合いまで左足から戻る。
仕太刀
- 中段の構えのまま、右、左、右の順で足を出して前進する。
- 相手が小手を打つときに、左足を左後方に下げ、同時に剣先を下げる。
- 相手の打ち終わりに対して、右足を前に出して小手を打ち込む。
2本目も1本目と同様、間合いが大切です。
一足一刀の間合いまで入りましょう。
打太刀の小手は、切り落とすまで剣先を振り下ろしましょう。
3本目の動き方は次の通りです。
打太刀
- 下段をとり、右、左、右の順で足を出して前進する。
- ゆっくり中段になるまで剣先を上げる。
- 中段になったら、右足を出しながら相手の「みぞおち」を突く。
- 相手が突くので、右足を下げて刀を下から裏に回す。
- 相手がもう一突き(気あたり)するので、左足を下げて刀を下から表に回す。
- 相手が間合いを詰めるので、刀を開きながら左、右、左の順で足を下げて後退する。
- ゆっくり中段の構えに戻り、右、左、右の順で足を出して前進する。
仕太刀
- 下段をとり、右、左、右の順で足を出して前進する。
- ゆっくり中段になるまで剣先を上げる。
- 中段になったら相手が突くので、左足を下げながら突きを萎やす。
- 右足を出しながら、相手の胸を突く。
- 左足を出しながら、もう一突き(気あたり)する。
- 右、左、右の順で足を出して前進しながら、剣先を相手の眉間につける。
- 左、右、左、右、左の順で足を出して下げ、歩み足でゆっくり中段の構えに戻りながら元の位置に戻る。
突く場所が打太刀と仕太刀で異なります。
打太刀はみぞおち、仕太刀は胸を突きましょう。
足捌きの順序は、何度も練習して習得しましょう。
細かい注意点はまだまだありますが、特に初心者が意識すべき点を挙げました。
全く知らない状態でたくさん教わると混乱すると思いますので、この記事を読んで思考の整理をしてもらえたらと思います。
日本剣道形をマスターして、みんなで初段に合格しましょう!
以上、ケンドーショーダンでした。