【二段審査】特殊な構え?日本剣道形の4本目と5本目を解説
二段受験では、日本剣道形1〜3本目に加えて、4本目、5本目も行うこととなります。
4本目の構えって、独特だよね。。
どうやって構えるんだろう?
下段、中段、上段以外の構えが4本目では出てきます。
また、5本目は剣道の技(擦り上げ技)が正しくできるかどうかがとても重要となります。
今回は日本剣道形の4本目と5本目について解説します。
きっちりマスターして、二段審査に臨みましょう!
- 日本剣道形4本目と5本目のポイント
- 日本剣道形4本目と5本目を勉強中の方
- 二段以上の受験を控えている方
- 二段受験者を教える先生
YouTubeチャンネルの「剣道昇段塾」では、日本剣道形や学科を解説しています。こちらもご参考にしてください。
日本剣道形4本目
4本目は相打ちからの、「突き巻き返し面」となります。打太刀、仕太刀を分けて、以下で解説します。
打太刀の動き
- 左足を前に出しながら「八相の構え」をとる。
- 左、右、左と歩み足で前進する。
- 右足を出しながら大きく振りかぶり、左足を引き付けながら木刀を振り下ろす。
- 「相手の面の位置」から「構えの位置」まで木刀を下ろし、剣道の足さばきで相手の胸を突く
仕太刀のポイント
構え方
打太刀は「八相の構え」をとります。
端的にいうと、「相手に刀の刃を見せる構え」です。
「八相(はっそう)」の「は」を「刃」と覚えましょう。
左手は体の中心、胸の前あたりに、右手は鍔が口の右側に来るようにして構えます。
この時に刀の刃を相手に見せましょう。剣先は自分の右上後方に向きます。
「日本剣道形解説書」には次のように書いてあります。
諸手左上段の構えから、そのまま右拳を右肩のあたりまで下ろした形で、刀をとる位置は、鍔を口の高さにし、口からほぼ拳一つ離す。構えるときは、左足を踏み出し、刀を中段から大きく諸手左上段に振りかぶる気持で構える。刃先は相手に向ける。
日本剣道形解説書
「左上段から下ろした形」です。
構える時は左足を前に出しながら、所定の位置に上から手を置くよう大きく構えましょう。
前進から切り結び
左、右、左と歩み足で前進します。この時の一歩は「小さめ」にしましょう。
相手の出方を伺いながら慎重に間合いを詰めるイメージです。
そして右足を出しながら大きく振りかぶり、左足を引き付けと同時に面へ木刀を振り下ろします。
すると、同時に相手も面へ木刀を振り下ろすので、木刀の真ん中あたりで切り結ばれます。
ポイントは、相手の面の高さに木刀が来ることです。高すぎる位置で切り結ばないようにしましょう。
切り結びから突き
次に「切り結んだ位置」から「構えの位置」へ木刀を下ろします。この時は、文字通り「鎬を削る」動きです。
相手と中心を取り合うように圧力をかけながら「構えの位置」へ木刀を下げます。
そして、意を決して相手の「右胸」を突きます。そこで相手に返されるので、やや前傾姿勢になり剣先はわずかに下がります。
この時、相手へ目線が切れないようにしましょう。
最後は左足から、触刃の間合いへと戻ります。
仕太刀の動き
- 左足を下げながら「脇構え」をとる。
- 左、右、左と歩み足で前進する。
- 右足を出しながら大きく振りかぶり、左足を引き付けながら木刀を振り下ろす。
- 「相手の面の位置」から「構えの位置」まで木刀を下ろし、左足を左前に持ってきて打太刀の突きに対して巻き返して、右足を引きつけて面を打つ。
仕太刀のポイント
構え方
仕太刀は「脇構え」をとります。
「脇構え」では自分の刀を相手に見せないようにします。
「日本剣道形解説書」には次のように書いてあります。
右足を後ろにし、左半身となり、刀を右脇に剣先を後ろにし、刃先は右斜め下に向ける。剣先は下段の構えより少し下げた位置にとる。構えるときは、右足をひきながら、刀を中段から大きく右脇にとる。特に刀身が相手から見えないように構えなければならない。
日本剣道形解説書
中段の構えの状態から鍔が口の横を通り、剣先が円を描く軌道で木刀を後方へ送ります。
左手が臍のやや右下、右手が腰あたりにきます。
刀が自分の体に隠れているか、鏡で何度も確認しましょう。
前進から切り結び
「脇構え」の状態から、刀を隠しながら左、右、左と足を出して前進します。
半身の状態ですので、一歩の大きさは自然と小さくなります。
そして右足を出しながら大きく振りかぶり、左足を引き付けと同時に面へ木刀を振り下ろします。
ここは打太刀と同じ動きとなります。
切り結びから面
打太刀の場合と同様、鎬を削りながら「構えの位置」に木刀をもっていきます。
打太刀が突くので、「大きく巻き返して」仕太刀の正面を打ちます。
「巻き返す」ってどういうこと??
巻き返すときは、左拳をおでこの上あたりにもってきます。それと同時に剣先を体の右側にもってきましょう。
すなわち、足、左拳、剣先の動きは以下の通りになります。
- 足→左足を左前方に出す
- 左拳→おでこの上にもっていく
- 剣先→自分の右側にもっていく
相手の面を打つときは、右手が頭の頭上を通るようにして、右足を左足の後ろに引き付けながら面を打ちましょう。
そして、右足から触刃の間合いに戻ります。
日本剣道形5本目
5本目は「面擦り上げ面」です。打太刀、仕太刀を分けて以下で解説します。
打太刀の動き
- 左足を前に出しながら左上段に構える。
- 左、右、左の順で足を出して前進する。
- 相手の面を打つ。(相手に擦り上げられて右側に木刀が流れる。)
- 相手の残心を見届けたのち、中段に構える。
- 左。右。左の順で足を下げて、元の位置に戻る。
打太刀のポイント
面打ち
左上段は、所定の位置に上から拳を置くように構えましょう。
左、右、左の順で足を出して前進し、右足を前に出しながら相手の面へ木刀を振り下ろします。
この時、相手の面をしっかり狙って打ち込みましょう。
「相手に当たったら危ないかな」と思って遠慮気味に打ち込んでしまうと、非常に擦り上げにくくなります。
相手のことを思って、大きく振り下ろしましょう。
一本目の左上段からの面打ちの違いとしては、このように記載があります。
1本目
〜打太刀は〜〜、仕太刀の正面を打つ。
5本目
顎まで切り下げる心持ちで打ち下ろす。
日本剣道形解説書
振り下ろしのとき、力を抜いて振り下ろしましょう。
すると、相手の磨り上げによって、自然と木刀が右へ流れ落ちていきます。
相手が残心を示したら、ゆっくり刀を上げて構え合います。
最後に左、右、左の順で足を下げて後退して、元の位置に戻ります。
仕太刀の動き
- 剣先を相手の左小手部分に向ける。
- 右、左、右の順で足を出して前進する。
- 相手が面を打ち込んでくるので、左足を下げながら擦り上げる。流れで右足を出して、面を打ち込む。
- 足を動かさずに眉間に剣先をもっていき、流れで右足を下げて左上段をとる。
- 相手の刀が上がってきたら左足を下げて中段に構える。
- 右、左、右の順で足を出して、元の位置に戻る。
仕太刀のポイント
平青眼の構え
打太刀が上段に構えるので、仕太刀は平青眼に構えます。
足はそのままで、相手の左小手の筒の上に剣先を置くイメージで構えましょう。
左拳は体の中心から外さないように注意しましょう。
面擦り上げ面
右、左、右の順で足を出して前進します。
打太刀が面を打ってくるので、左足を下げながら刀を擦り上げて右足を引きつけます。
そして流れを止めないまま、右足を出して面を打ちます。
ここの擦り上げがキーポイントとなります。
「相手の木刀」に「自分の木刀」を意識的にぶつけにいくと、擦り上げになりにくいです。
相手が真っ直ぐ面に下ろしてくるので、自分の木刀も真っ直ぐ振り上げましょう。
イメージとしては、相手の木刀を「なぞる」ように振り上げると、上手く擦り上げられます。
擦り上げ後は、振りかぶりの形となり面へ移行します。
擦り上げは難しいので、繰り返し練習しましょう。
まとめ
今回は、日本剣道形の4本目と5本目について解説しました。
4本目の打太刀、仕太刀の動きは以下の通りです。
打太刀
- 左足を前に出しながら「八相の構え」をとる。
- 左、右、左と歩み足で前進する。
- 右足を出しながら大きく振りかぶり、左足を引き付けながら木刀を振り下ろす。
- 「相手の面の位置」から「構えの位置」まで木刀を下ろし、剣道の足さばきで相手の胸を突く
仕太刀
- 左足を下げながら「脇構え」をとる。
- 左、右、左と歩み足で前進する。
- 右足を出しながら大きく振りかぶり、左足を引き付けながら木刀を振り下ろす。
- 「相手の面の位置」から「構えの位置」まで木刀を下ろし、左足を左前に持ってきて打太刀の突きに対して巻き返して、右足を引きつけて面を打つ。
4本目では「八相の構え」と「脇構え」を正しくできるようになりましょう!
正しく構えることができれば、その後の動きも理に適ったものとなります。
そして、5本目の打太刀と仕太刀の動きは以下の通りです。
打太刀
- 左足を前に出しながら左上段に構える。
- 左、右、左の順で足を出して前進する。
- 相手の面を打つ。(相手に擦り上げられて右側に木刀が流れる。)
- 相手の残心を見届けたのち、中段に構える。
- 左。右。左の順で足を下げて、元の位置に戻る。
仕太刀
- 剣先を相手の左小手部分に向ける。
- 右、左、右の順で足を出して前進する。
- 相手が面を打ち込んでくるので、左足を下げながら擦り上げる。流れで右足を出して、面を打ち込む。
- 足を動かさずに眉間に剣先をもっていき、流れで右足を下げて左上段をとる。
- 相手の刀が上がってきたら左足を下げて中段に構える。
- 右、左、右の順で足を出して、元の位置に戻る。
5本目のポイントは「擦り上げ」です。
相手の木刀を「なぞる」ように、擦り上げをしましょう。
残心から構えあったのち、3歩で戻るのも忘れないように気をつけましょう。
4本目と5本目の剣道形もマスターして、みんなで二段合格しましょう!
以上、ケンドーショーダンでした。