剣道の素振り9種類を紹介&ポイントを解説!上達する稽古メニュー

稽古の始めに行うメニューといえば、素振りですよね。毎回同じ素振りを繰り返すだけになっていて、疎かになっていませんか?
実は素振りのバリエーションは様々あり、素振りの種類を増やすことによって筋力や体捌き、間合い感覚などの要素を同時に鍛えることができます。
この記事では、稽古メニューにすぐ取り入れられる素振りを9種類ピックアップしました。9種類は以下の通りです。
- 上下素振り
- 正面素振り
- 左右面素振り
- 体を裁いて左右面素振り
- 跳躍素振り
- 踏み込み素振り
- 股割り素振り
- 足入れ替え素振り
- 蹲踞素振り
普段の基本動作から一歩踏み込みたい方、または稽古に新しい刺激を加えたい方におすすめです。今日からの練習に加えて、剣道の動きに幅と深みを持たせましょう!
- 9種類の素振りとポイント
- 新しい素振りの方法を取り入れたい剣道家
- 剣道の素振りの稽古メニューを考えている方
上下素振り

素振りの方法
- 剣先を下まで振り下ろす
素振りの中でも一番始めに行われることの多い上下素振り。竹刀の軌道範囲が最も広い素振りです。
振り下ろしは膝よりも下まで剣先を下すようにしましょう。
道場の方針によって、振り下ろしで竹刀をピタッと止める場合と、止めずに連続して振る場合があります。いずれの場合でも、剣先が自分から最も遠い軌道をたどるように振ることが大切です。
上達に向けたポイント
- 脱力して振ること
大きく振ることに加えて、脱力することを意識しましょう。
力が入っていると、最も自分から離れた軌道をたどることができません。実際の剣道の場面で、剣先を下まで振り下ろすことはないので、竹刀の軌道を確認するように脱力して振ることが重要です。
正面素振り

素振りの方法
- 自分と同じ背の高さの相手に、面を決めるつもりで振る(打ち込む)。
上下素振りで竹刀の軌道を確認したら、その軌道を維持したまま、実際の面打ちを想定して面の高さに向かって振ります。
面の高さになる時は、右手は肩の高さ、左手はみぞおちの高さになります。剣先は面の高さより少し低い、眉間の高さくらいまでもっていくようにしましょう。
上達に向けたポイント
- 振り下ろしの速度を速くする。(足の引きつけを速くする。)
- 足から始動する。
実際の面打ちでも、速い打ちの方が相手に勝てますよね?速い打ちを手に入れるために、素振りから意識が必要です。振り下ろしを速くするというよりも、足の引きつけを速くする方が意外と速く振れます。
また、振りかぶりで竹刀が上がるよりも先に足が始動することで、竹刀を振れる時間が短くなり、速く振ることができますね。さらに、実戦でとても効果的な、「足攻め」も使えるようになりますよ。
正面素振りは最も基礎的で重要な素振りですので、さらに詳しく以下の記事で解説しています。

左右面素振り

素振りの方法
- 相手の左右面を打ち込むつもりで振る。
基本の形は正面素振りと同じです。ただ振り下ろしの時に、左右面を狙って振るため、45度くらいの角度で打ち込むこととなります。
横から振るのではなく、斜めの軌道となるようにしましょう。右手を頭の幅から外さなければ、横から振ることはありません。左手は常に中心に置きます。
上達に向けたポイント
- 右手の力を抜きつつ、右手で角度をつける
正面素振りで速く振ろうとすると、右手に力が入ってしまう場合もあるでしょう。右手に力が入ったままでは、上手く角度がつけられないため、上手く振れないはずです。
右手の力は抜きつつ、角度をつけるために活用しましょう。
具体的には、左面(自分から向かって右)を打つときは、右の手のひらが上、右面(自分から向かって左)を打つときは、右の手の甲が上になるように振ります。
体を裁いて左右面素振り

素振りの方法
- 正面に止まった相手がいると想定し、左側から左面、右側から右面を打ち込む。
- 左面(自分から見て右)を打ち込む時は右足が前、右面(自分から見て左)を打ち込む時は左足が前になる。
左右面素振りに体裁きを加えた素振りになります。相手が正面に立っていることを想定し、右側、左側から左右面を打ちます。
前後の動きはよくあるものの、左右の動きに慣れていないと難しいです。左足が前の状態も慣れが必要です。
まずは足の動きをマスターしてから、左右面の動きを加えましょう。
上達に向けたポイント
- 体裁きに竹刀が流されて、横から左右面を打たないようにすること。
左右面素振りのところでもお伝えした通り、左右面の角度は45度です。
体裁き、すなわち右から左、左から右へ移動するときに、竹刀も振りかぶりと同時に反対サイドへ移動するため、竹刀が流れて横からの打ちになりやすいです。
縦(上下)の動きを意識して左右面を振れるようにしましょう。
跳躍素振り

素振りの方法
- 前に一歩跳躍する時に振り下ろす、後ろに一歩跳躍する時に、振りかぶる。
簡単に表現すると、正面素振りの前後の移動を跳躍して行う素振りです。
正面素振りで竹刀を振るスピードよりも速く振らなければ手と足が合わないので、速い振りを身につけるのに最適な素振りです。
剣道を始めたての人にとっては少々難易度が高いので、以下の記事でもう少しわかりやすく取り組み方を解説しています。

上達に向けたポイント
- 振り下ろしの速度を早くすること。
はじめのうちはついていくのがやっとだと思いますが、慣れてきたら跳躍素振りは調子やリズムに乗って振ってしまいがちです。
他の人と差をつけるのならば、振り下ろしの速度を特に意識して振りましょう。あえて、振りかぶりと振り下ろしの速度差をつけてみる、振り下ろしたら一瞬止まってみる、など速く振れるようになる工夫はできます。
踏み込み素振り

素振りの方法
- 振り下ろしの時に足を引きつけず、腰を落としてなるべく前に足を出す。
前に出す足は左右交互です。
上半身は正面素振りと同じ形となりますが、下半身は前後に足を大きく広げることとなります。そこから、前に出した足を元の位置に戻して構えの状態になってから、先ほど出した方と反対の足を前に出します。
足を広げる動作と、広げた足を元に戻す動作を繰り返すことで下半身が重点的に鍛えられますね。
足を出すときに、すり足とするか踏み込み足とするかはどちらでも良いです。
上達に向けたポイント
- ギリギリのところまで足を前に出す。
上半身の意識は正面素振りと同じです。この踏み込み素振りでは、特に下半身を意識することが上達につながります。
自分が出せる限界まで足を前に出し、その状態から構えに戻ることで、体幹全体を鍛えることができます。
股割り素振り

素振りの方法
- 足を肩幅くらいに開き、振り下ろしの時に腰を落とす。
- 振り下ろしの時、竹刀は水平くらいになるようにする。
素振りとスクワットを同時に行う素振りです。この素振りで太ももの筋肉を鍛えることができます。
構えと振りかぶりの状態では膝を伸ばして立っていて、振り下ろして膝を曲げます。これを繰り返す素振りとなります。
上達に向けたポイント
- 腰をしっかり落として振ること。
股割り素振りも下半身の意識が重要です。腰の落とし加減が浅いと、太ももが十分に鍛えられません。
しっかり腰を落として振りましょう。
腰を落としたまま、空気椅子のような状態をキープして素振りする方法もあります。こちらの方が負荷が大きいです。この方法も取り入れてみてはいかがでしょうか?
足入れ替え素振り

素振りの方法
- 構えの状態から、左足が前、右足が後ろになるように足を入れ替えながら振りかぶり、右足が前、左足が後ろに戻すときに振り下ろす。
跳躍素振りと違ってその場で振るので、跳躍素振り以上に速く振る必要が出てきます。
足を入れ替える時に、腰も左右に振れないようにしましょう。
上達に向けたポイント
- 足の入れ替えの速度を速くする。
より速く振れるように、足の入れ替えの速度を高めましょう。30本も振れば、十分疲労感を感じるはずです。
蹲踞素振り

素振りの方法
- 蹲踞の状態で止まったまま、上半身だけ動かして竹刀を振る。
稽古の初めと最後、もしくは試合の時に行う蹲踞の状態で竹刀を振ります。
蹲踞の安定性や体幹の強化が目的となります。安定した蹲踞ができると、試合でもすぐに攻めへと移行することができます。竹刀を振る時に頭が前後に振れないようにしましょう。
上達に向けたポイント
- 胸を突かれても倒れないくらい安定した蹲踞を目指す。
- 蹲踞の状態で歩きながら振る。
安定した蹲踞ができているか確認する方法として、仲間に胴を突いてもらう方法があります。胴を突いてもふらつかないくらいを目指しましょう。
さらに足腰を鍛えるという点では、蹲踞の状態で足を出して歩きながら素振りをする、といった方法もあります。
蹲踞素振りは以下の記事でも紹介してますので、参考にしてみてください。

まとめ
この記事では、剣道の素振り9種類を紹介しました。
- 上下素振り
- 正面素振り
- 左右面素振り
- 体を裁いて左右面素振り
- 跳躍素振り
- 踏み込み素振り
- 股割り素振り
- 足入れ替え素振り
- 蹲踞素振り
それぞれの素振りで特徴があり、さまざまな強くなるための要素を補完し合っています。
ぜひいろんな素振りに取り組んで、上達を目指してくださいね。
なお、最も基本となる素振りは「正面素振り」です。まだどれも上手くできないという方は、正面素振りに集中して取り組むようにしてください。
正面素振りが確実にできるようになれば、他の素振りもできるようになるはずです。
皆さんの成長を応援しています!
以上、ケンドーショーダンでした。