剣道の稽古法を紹介!豊富な練習メニューで楽しく強くなろう!
いつも同じ稽古メニューで、なんかマンネリ化してるなぁ。
でも面白いアイデアも無いし、どうしたら良いだろう。。
特殊な稽古法を思いつかなくても、よく知られている稽古法は多くあります!
この中から選んで、毎回違う稽古メニューにしてはいかがでしょうか?
「基本は繰り返し行うことで身に付く」
多くの先生がおっしゃることですし、私もそう思います。
ただ毎日毎日、同じ素振り・基本打ちをしていても、初心者にとってモチベーションを保つことはなかなか難しいです。
また、自分のクセや悪いところが気づかずに同じ稽古を繰り返すと、そのクセが体に染み付いてしまい、取り除くのが難しくなってしまいます。
モチベーションを保つ・クセの少ない剣道を目指すために、色んな稽古法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
毎回稽古内容が異なると、新鮮な気持ちで稽古に挑むことができます。
そして、この稽古は得意だけどこの稽古は苦手、という場面に遭遇し、苦手を克服していけると、どんな動きでも対応できる剣道を身につけられます。
今回の記事では、さまざまな剣道の稽古法について紹介したいと思います。稽古メニューでお困りの先生には参考になるはずです。
一人で稽古するときや、自主練での参考にもなれば幸いです。技もたくさん身につけて、綺麗で強い剣道を目指しましょう!
- 稽古の時間配分
- 初心者から初級者向けの稽古メニューやバリエーション
- 稽古メニューでお困りの方
- 技のバリエーションを増やしたい方
稽古の時間配分
稽古の内容は、稽古時間やその時の状況(試合や審査前、合宿など)でやるべきことが変わってきます。
今回は、一般的な稽古ということで時間配分を考えてみましょう。
以下に各稽古時間でのメニューを記載しました。参考にしてみてください。
(※面付けや礼法の時間は省略しているので、あくまで目安の時間として記載しています。)
- 素振り 5分
- 切り返し 10分
- 基本打ち 10分
- 地稽古 20分
- 懸かり稽古 5分
- 素振り 10分
- 基本打ち 30分
- 技練習 10分
- パターン稽古 10分
- (休憩 10分)
- 地稽古 40分
- 懸かり稽古 10分
- 素振り 10分
- 足捌き 10分
- 切り返し 10分
- 基本打ち 30分
- (休憩 10分)
- 技練習 10分
- パターン稽古 30分
- (休憩 10分)
- 地稽古 40分
- 懸かり稽古 10分
素振りのメニュー
素振りの種類
代表的な、上下・正面・左右・跳躍素振り以外の素振りも以下で紹介しています。
全部を30本やっても10分程度の稽古となります。
- 上下振り
- 正面素振り
- 合図とともに一挙動素振り
→構えた状態から始まり、号令が合図を出した瞬間に正面打ちを行います。 - 左手だけの素振り
- 左右面素振り
- 体を捌いて左右面素振り
- 踏み込み素振り
→右足もしくは左足を大きく前に出し、腰を落として正面打ちを行います。 - 蹲踞素振り
- 股割り素振り
→足を肩幅より少し広げて、振り下ろす時に腰を落とす、もしくは腰を落としたまま素振りをする。 - 跳躍素振り
- 前後左右跳躍素振り
→跳躍素振りの振り下ろしで、進む方向を前後左右変化させます。 - ジャンプ素振り
→飛び跳ねて浮いている間に、振りかぶりと振り下ろしを行います。 - 足前後の素振り
→振りかぶりでジャンプして足の前後を入れ替え、振り下ろしで再びジャンプして足の前後を入れ替えます。
素振りの本数を増やす
単純に素振りの本数を増やすことでバリエーションにつながります。
10本、30本、50本、100本と、その時々の目的や稽古時間に応じて取り組むことが重要です。
ダラダラと身にならない素振りをするくらいなら、10本の本気の素振りをする方が良いです。体力、筋力が不足しているなら、限界まで本数を増やす方が良いです。
今、何が課題なのかを明確にして素振りから取り組みましょう。
振る刀を変える
目的によって刀を変えるのも一つの方法です。
- 筋力をつけたい→重い竹刀、木刀を振る
- 正しい握りをキープしたい→柄が小判形の竹刀、木刀を振る
- 手の内、冴えを身につけたい→軽い木刀、桐木刀を振る
- 先を早く振る感覚を身につけたい→長い刀(洗濯竿など)を振る
「そんなに木刀や竹刀の種類が無いよ」という方は、今持っている刀で工夫をしましょう。
私がオススメするのは、「手拭い竹刀」です。
竹刀の先に手拭いを結びつけて素振りを行い、適度の負荷をかけて、剣先の速さを意識することができます。
刀を振る速度を変える
素振りって速く振る方がいいんじゃないの?
大きく、速く振れるのが最も良いですが、始めは筋肉が不足しているのでなかなかできません。
大きく速く振れるようになるために、ゆっくり素振りするのもありです。
素振りをゆっくり行うことで、刀を支える腕の筋肉をつけることができます。
「ゆっくり」の速さは、「蚊が竹刀に止まるくらい」です。極端にゆっくり振るようにしましょう。
足捌きのメニュー
足捌きは道場を大きく使って稽古を行いましょう。
以下に稽古法を示していますが、組み合わせることでさらに稽古バリエーションを増やすことができます。
例えば、「小さく」「連続で」「前」捌きなどです。
数人が横並びとなり、拍子木や笛の合図で足捌きを開始して、横の人と競うようにして足捌きをしましょう。
- 前後左右
→前進、後退、左、右を分けたり、組み合わせたりできます。斜め方向の足捌きもできますね。 - 前後切り替え
- 左右切り替え
→1回目の合図で進行方向へ進み、2回目の合図で逆の方向に動きを切り替えます。 - 踏み込み
→踏み込み素振りと同じ要領で、竹刀を振りながら片方の足を大きく前に出し、腰を落として打ちます。
立ち上がる際に後の足を引きつけて、前へ進みます。右足前、左足前、どちらも行いましょう。 - 一歩ずつ
→右足を前に出す速度は様々ですが、左足の引き付けは早くしましょう。 - 連続
- 円
→前後左右斜めを組み合わせた足捌きとなります。大きな円、小さな円と円の大きさを変える工夫をできます。 - 歩幅を小さく
→歩数をなるべく多くなるよう、細かくを意識しましょう。 - 歩幅を大きく
→誰よりも速く前へ進みましょう。 - スキップ
→軸足(地面に付いている足)の進め方は足捌きと近いので、スキップも練習となります。 - ケンケン
→左足を軸足にし、右足を前に置いてケンケンで前に進みます。 - 両足跳び
→両足を並べてジャンプで前に進みます。慣れたら、振りかぶりでもジャンプ、振り下ろしでもジャンプで前進します。 - 初めに面
→合図がなったら、面を打って進みます。 - 途中で面
→1回目の合図で進み、途中の2回目の合図で面を打ちます。
道具を使った稽古
もし新たな道具を買える場合は、いつもと違った効果的な剣道稽古法ができます。
有名なところでいうと、以下のようなものです。
- 竹刀への打ち込み
- タイヤ打ち
- チューブを使った面打ち
- ラダートレーニング
そのほかにも、各道場で面白いアイデアを実践しています。twitterの投稿では、以下のような稽古法が紹介されていました。
技を盗むのと同じように、良い稽古法はどんどん取り入れてしまいましょう。
切り返しのメニュー
切り返しは剣道の基礎が詰まっています。基本の切り返しは以下の流れです。
正面打ち→体当たり→左右面で4本前進→左右面で5本後退→正面打ち→(もう一度、体当たりと左右面)→正面打ち
本数を変えたり、打つ場所を変えたりすることで、バリエーションを増やすことができます。
共通する意識すべきところは、「大きく速く強く打つこと」と「息をなるべく繋ぐこと」です。
- 1歩ずつ、すり足で打ち込む
- 面で受ける
- 竹刀で受ける
- 一息
→左右面は1往復のみで、最後の面まで息を繋ぎます。 - 片道
→左右面で4本前進したのち、正面打ちで打ち抜けます。 - 2往復連続
→左右面で5本後退したのち、相手から離れることなく再び左右面で前進します。 - 体当たり3回
→正面打ちと体当たりを3回繰り返してから、左右面を打ちます。 - 体当たりから引き面、引き胴、引小手
→「体当たり3回」の際に、引き技を打って相手から離れます。 - 突き3回
→3回突いてから、切り返しを行います。 - 振り返って面や突き
→最後の面を打ち抜けてから、気を緩めずに振り返って技を出します。 - 振りが小さくてもなるべく速く
→「大きく速く」が基本ですが、なるべく速く振ることを意識します。 - 胴
→左右面を左右胴にします。 - 面面胴胴
→左右面と左右胴を交互に行います。面と胴で打ち方を変えないようにしましょう。 - 切り結び
→左右面のときに、元立ちも左右面を打ちます。切り結ぶ高さは面の高さとしましょう。 - 交互に
→面から左右面まで行ったのち、元立ちが正面打ちから左右面を行って、縁を切らずに交互に切り返しを行います。 - 30本(50本、100本)
→左右面を30本打ち込みます。 - 三段稽古
→元立ちが3人並び、1人目、2人目、3人目と連続して切り返しを行います。終わったら3人目の元立ちとなります。鹿屋体育大学で行われている稽古法です。 - 水平切り返し
→普通は斜め45度に打ち込む左右面ですが、水平方向に切り返しを行います。小牛田農林高校で行われている稽古法です。 - 右右左左
→左右面を右左の順ではなく、右右左左の順で打ち込みます。 - 片手打ちでの左右面
豊富な切り返しのメニューとしては、島原高校の稽古が参考になります。
基本打ちメニュー
基本打ちは面、小手、胴、突きだけじゃないの?
あとは小手面とか?
攻め入る方法を変化させることで、バリエーションを増やすことができます!
基本打ちというと、以下をイメージする方が多いと思います。
- 面
- 小手
- 胴
- 突き
- 小手面
- 小手胴
- 引き技(面、小手、胴)
これらを「どうやって打つか」が重要になってきます。
「構え」から「打ち」へ移行するときに仕掛ける方法をたくさん身につけることで、幅の広い攻めができるようになります。
選択肢をたくさん持っておいて、自由に使えるようにしておきましょう。
- 大きく打つ
- 小さく打つ
- 右に捌いてから
- 左に捌いてから
- 表から中心をとる
- 裏から中心をとる
- 払って
- 押さえて
- 乗せて
→相手の竹刀の上に自分の竹刀を乗せるイメージです。 - 巻いて
- 軽く竹刀に触れて
→とても弱く払うイメージです。 - 小手を攻めて
- 左目を攻めて
- 担いで
- 左足止めて
→竹刀の届く間合いから、左足は動かさずに打ち込みます。 - 一歩入って
→遠間から一歩入って打ち込みます。 - 左足引きつけて
→右足はそのままで左足だけを引きつけて打ち込みます。 - 足捌きの流れで
→前捌きで相手に近づき、そのまま打ち込みます。
ここに記載しているものは、あくまで一部にしか過ぎません。
例えば、自分が仕掛けて、相手がこう動くから、それに対して技を出す、など元立ちの人と話しながら基本打ちを行うこともできます。
レベルが高くなったら、より実戦に近い形で基本打ちを行うようにしましょう。
試合前はフェイント技も入れ込む、審査前は1本打ちの技を極めるなど、柔軟に自分でメニューを変えて稽古に励んでください。
技練習メニュー
基本打ちでも実戦的な内容に踏み込んでいますが、これを踏まえて「応じ技」の練習を行います。
相手の動きに対してさらに先をとる「先々の先(せんせんのせん)の技」と相手の動いたところを制する「後の先(ごのせん)の技」です。
なんか難しい言葉でよくわからないよ。。
そういう時は、「相手の竹刀に触れる技」と「相手の竹刀に触れない技」と分けて考えましょう!
面に対して
- 相面
- 出小手
- 抜き胴
小手に対して
- 相小手面
- 小手抜き面
- 返し技
- 擦り上げ技
特に、「相手の竹刀に触れる技」は素早い反応が必要となるため、稽古をよく積みましょう。
「応じ技」そのものは、技がある程度限定されますが、相手の技の引き出し方は無数にあります。
例えば、一瞬中心をとる力を緩めたところで飛んでくる面に対して返し胴、などです。これもこんな風に稽古したいと相手に伝えて、稽古しましょう。
相手の動きを想定して技を出すという点では基本打ちと何ら変わりません。
基本打ちでの動きと同じように、応じ技でも技を出せるようにしましょう。
パターン稽古
パターン稽古を行う目的としては、試合中に「チャンスを逃さず、咄嗟に技を出せるようになる」ことにあります。
そのためにはどんな状況でも体勢を崩さず、次の打ちに繋げられるようになりましょう。
パターン稽古の種類としては以下のようなものがあります。
- 追い込み
- 面
- 小手面
- 小手面胴面
- 打ち込み稽古
- 面→小手面→面→小手面→面
- 面体当たり、引面、引小手、引き胴、面
- 決まった流れに対する応じ技
- 面体当たり引き面→(相手が面に飛んでくるのに対して)応じ技
- 連続応じ技
- 連続で面に対する応じ技
- 連続で小手に対する応じ技
自分もしくは相手が打つ技が決まっている稽古なので、確実に1本を決めましょう。
その上で一番意識しなければいけないことは、「間合い」です。
動きの中で技を出すため、間合いが近くなることが多いです。竹刀の「もの打ち」で相手の打突部位を捉えるようにしましょう。
地稽古
地稽古では、これまでやってきた基本打ち、技練習、パターン稽古を地稽古で試しましょう。
時間が無い場合は、時間で区切って「回り稽古」が良いです。
1本を取る、取られるを気にすることは当然のことですが、「自分はここができてなかったから、次はこうしよう!」と自分のことに対して反省すると強くなれます。
視点は相手ではなく、自分に向けるようにしましょう。
上記以外で、先生との稽古で意識すべきことを紹介します。
先生に懸かる子ども(生徒)が意識すべきこと、先生が指導する上で意識すべきことに分けて紹介します。
先生に地稽古で懸かる
先生に懸かるとき、子ども(生徒)が意識すべきことは、「積極的に攻めること」です。
これは子どもに限らず、大人が先生に懸かる場合も同じです。
応じられてしまうかもしれない、返されてしまうかもしれない、そういう不安をとっぱらって、打つときは思いっきり打つ稽古をしましょう。
たくさん打つと言うことではなく、自分から間合いに攻め入って仕掛けると言うことが大切です。
相手の駆け引きの中で、自分の全力の技を出せるようにするのが地稽古の目的です。
子どもを地稽古で指導する
先生の立場で子どもを指導する場合、「技を出しすぎる」のは避けましょう。
先生が先に攻めて打ち込む回数が多いと、子どもは手出しできなくなり、防御に意識が向いてしまいます。
攻めの早い子は実力が十分付いているはずですので、技が増えても問題ないですが、まだそこまでのレベルでない子に対しては、引き出して打たせたり、応じ技で対応したりしましょう。
上でも記載した通り、思いっきりの技を出すことが重要です。
こちらが応じたり返したりしても、打つと決めた技は打ち切るように指導しましょう。
そうすると、打つ技の選択や機会が洗練されてきます。
試合稽古
団体戦や個人戦を想定して試合稽古を行うのも良いですが、ルールを決めて稽古するのもありです。
例えば、以下のようなルールです。
- レベル差がある場合は、強い人は「面しか打ってはいけない」
- 片方が1本取得した状態から、試合開始(試合時間は残り30秒)
試合の進め方としては以下のような方法があります。
- 勝ち残り
- 負け残り
- 1本勝負
- 2人対1人
2人対1人は、1人側の人の視野が広がり、いろんな技に対応できるようになります。
試合に慣れていない場合は、礼法のチェックをしましょう。
- 団体のときの礼
- 防具が外れたときの対応(外れた側も、待つ側も)
- 不戦勝のときの対応
懸かり稽古
最後は気を練る懸かり稽古です。懸かり稽古は連続で次々と技を打ち込む稽古で、方法は以下2つです。
- 懸かり稽古
- 相懸かり
連続で懸っていく、1回あたりの懸かる時間を変える、などでバリエーションを工夫することができます。
懸かり稽古は特に、「受け手」がいかに「懸かり手」を引き出すかが重要です。一部を除いては、小学生同士で行うことはあまりおすすめしません。
中学生以上の先輩や先生が「受け手」を行いましょう。このとき、「愛」のある指導が必要です。
体勢を崩す、なかなか打たせないなど、動きでは厳しいことを行なっても、「ファイトー!頑張れ!」など声を掛けながら受けることで、子どもたちもやる気になります。
やる気の伴った稽古をすることで、実力はメキメキ伸びていきます。先生は、やる気を引き出しましょう。
まとめ
今回は剣道の稽古法について紹介しました。以下の稽古メニューについて記載しました。
- 素振り
- 足捌き
- 道具を使った稽古
- 切り返し
- 基本打ち
- 技稽古
- パターン稽古
- 地稽古
- 試合稽古
- 懸かり稽古
これだけ豊富な稽古メニューであれば、マンネリ化はしないです。
毎日稽古のある道場や部活動の場合は、○曜日は体力をつける稽古、○曜日は技を身につける稽古など、コンセプトを曜日ごとに作ると、1回の稽古の目標を定めやすいです。
自ら「こうなりたい」と理想を掲げて稽古に取り組めるように、稽古メニューも工夫をしましょう。
以上、ケンドーショーダンでした。