剣道習い始めの小学生低学年向け!二挙動の正面素振り稽古
最近入ってきた幼稚園生や小学校低学年の子どもたち、稽古に来て何回か経つけど、素振りの時にフラフラしたり、真っ直ぐ振れないなぁ。。
どうしたらいいだろう?
そんな時は、「二挙動の正面素振り」をしましょう!
「二挙動の正面素振り」とは、「振りかぶり」と「振り下ろし」の動作を分けて行う正面素振りのことです。
正しい素振りといえば、一拍子(一挙動)で振る素振りです。
しかしながら、初心者の子たちにとって一挙動で振ることは難しいです。
まずは正しい形を「二挙動の正面素振り」できちんと身につけて、それからレベルの高い素振りを目指しましょう。
今回は、「二挙動の正面素振り」の指導に関してご紹介します!
- 二挙動素振りの方法
- 二挙動素振りのメリット
- 二挙動素振りの指導法
- 剣道を始めたての子どもに教える先生
二挙動の正面素振りの方法
二挙動の素振りとは振りかぶり時点で止めてから、振り下ろす方法の素振りです。
具体的には以下の手順で行います。
- 竹刀を振りかぶりながら、右足を出す。
- 振り下ろしながら、左足を引きつける。この時、「面」と発声する。
実際に行う場面では、次のようになります。指導者は、「イチ」「ニ」と声を掛けましょう。
イチ!!
(竹刀を振りかぶりながら、右足を出す)
ニィ!!
メン!!(振り下ろしながら、左足を引きつける)
「イチ」と「ニ」の間隔が無くなれば、一挙動の正面素振りとなります。
「振りかぶり」と「振り下ろし」の2つの動作を分けて、それぞれの動作を指導者がチェックしましょう。
二挙動の正面素振りのメリット
初心者の特徴
メリットを紹介する前に、まず、初心者の特徴を改めて確認しましょう。
剣道を始めたての子どもたちは、以下のような特徴があります。
- 先輩たちの真似をする
- 他の人から遅れたくない
- 筋力が不足している
- 正しい動きが理解できていない
初心者の特徴を踏まえて、二挙動の正面素振りのメリットについて以下の3つの視点から解説します。
- メンタル面
- フィジカル面
- 頭脳面
メンタル面
速度差が生まれにくく、焦らないで振れる
初心者は「正しい動きを理解できていない」ままで、「先輩たちの真似」をします。
先輩たちのどこを真似するかというと、「初め」と「終わり」です。
すなわち、他の子どもと「同じタイミング」で「振り上げ」と「振り下ろし」ができているかを気にします。
そのため、すごく焦ってしまいます。
また初心者間で習熟度に差がある場合は、遅れることをさらに恐れてしまい、速く振らなければと思ってしまいます。
二挙動の正面素振りでは、そういった精神的な焦りを除いてあげることができます。
私も普段の稽古で、初心者に対しては「ゆっくりでいいよ、正しくやろう」と声をかけることが多いです。
振りかぶった段階で一度停止することで、大幅な遅れをせずに取り組むことができます。
そして、自分の動きに集中して取り組めます。
フィジカル面
体幹を支える筋肉が身に付く
初心者は先輩たちと比べて、圧倒的に体幹を維持する筋肉が不足しています。
小学生低学年であればなおさらです。
地道な努力を積み重ねないと解決できないですが、効率よく解決できる方法がこの「二挙動の正面素振り」です。
「振りかぶり」と「振り下ろし」との間で一時停止するため、「二つの体勢を維持する」筋肉をつけることができます。
特に、背が高い低学年の子は、筋肉が不足していて自分の体を支えるのが難しいです。
私の教え子でも「背が高い初心者(小学校低学年)」がいました。
初めのうちは、構えの状態でも体を支えられずフラフラしていました。
ですが、二挙動の正面素振りを続けることで、今ではふらつきなく素振りや正面打ちができるようになっています。
一挙動の素振りだけを続けるよりも、結果的には二挙動の素振りをする方が、安定した素振りが早くできるようになります。
繰り返し、稽古しましょう!
頭脳面
低学年でも動作を理解できる
普通の正面素振りは分解すると4つの動作を行なっています。
- 振りかぶりながら
- 右足を出し
- 振り下ろしながら
- 左足を引きつける
これを「一度にやれ」と言われても、初心者が理解するのは難しく、実践できません。
二挙動の正面素振りでは、これらの動作を2つに分解することができます。
振りかぶり⇨①と②
振り下ろし⇨③と④
素振りの動作をより単純化することができ、初心者が理解できるようになります。
先ほど書いた「焦り」が理解を妨げているので、落ち着いた精神状態になった上で、初心者には動きを理解してもらいましょう。
大きく振りかぶることを意識づけられる
素振りに留まらず、剣道は、大きく、速く、強く、この順で習得していくことが大事です。
焦って一挙動の素振りをすると、どうしても「振りかぶり」が小さくなってしまいます。
素振りを二挙動にすることで、焦らず落ち着いて「大きく」振りかぶることができます。
振りかぶって停まる際に「ここまで振りかぶるんだ」と指導者が示すことで、初心者の子たちの中に基準ができ、大きく振りかぶれるようになります。
この基準に対して意識が向くようになれば、自然と成長することができます。
振り下ろしを速くすることを意識づけられる
先ほどは「振りかぶり」についてでしたが、次は「振り下ろし」についてです。
剣道では、「切る」動作が重要です。
焦った一挙動の素振りでは、「振りかぶり」も「振り下ろし」も力んでしまい、ただの上下運動になってしまいます。
二挙動の正面素振りの場合は「構え」からではなく、「大きく振りかぶった状態」から振り下ろしの動作に移るので、余計な力を抜いて速く振り下ろすことに意識を集中できます。
そうした素振りが、結果的には「冴えのある打突」に繋がってきます。
振り下ろしの感覚を、素振りで身につけましょう。
指導のポイント
初めのうちは指導者も一緒に行う
初心者は、手本が近くにあると安心して実践できます。
初心者たちだけで稽古している場合、結局誰を真似したら良いのかわからず、意識がいろんなところに向いてしまいます。
指導者が一緒に素振りをすることで、真似をする対象が1つに絞られるので、安心して取り組むことができます。
自転車の漕ぎ始めがアンバランスな様に、動き出しはしっかり指導者が支えてあげましょう。
一度動き出せば、自転車のごとく安定して進むことができます!
止まった状態の時に、正しい形へ修正する
二挙動の正面素振りでは、「振りかぶり」と「振り下ろし」の状態で停止します。
停止した状態の時に「正しい形」となっているか確認し、修正してあげましょう。
振りかぶりの状態であれば、以下のポイントを確認しましょう。
- 左手がおでこの上まで振りかぶれているか
- 左手と右手が正中線上にあるか
- 右足の踵が床についていないか
振り下ろしの状態であれば、以下のポイントを確認しましょう。
- 右手が肩の高さ、左手が胸の高さとなっているか
- 左腕がなるべく伸びた状態となっているか
- 左足が正しい位置まで引き付けられているか
振り下ろしについては、次に紹介する方法で問題点を修正することができます。
振り下ろしの竹刀の高さや角度は、受けることで直してあげる
振りかぶりについては、おおよそ皆、真似することができます。
体の重心と竹刀の重心が割と近い位置にあるため、安定するからです。
しかし、振り下ろしの体勢では体の前に竹刀を置くため、体の重心と竹刀の重心が離れてしまい、不安定になります。
その結果、腕の高さが低くなったり、高くなったりします。
そういう時は正しい振り下ろしになるよう、指導者が竹刀で素振りを受けてあげましょう。
竹刀で受ける時のポイントは以下の3つです。
- 竹刀で受ける高さは、子どもの背の高さにする。
- 「もの打ち」の中でも遠目のところ(竹刀の先革からすぐの竹の部分)で打たせ、右腕、左腕がしっかり伸びる距離だけ離れる。
- 打った後は力を抜き、反動で竹刀が上がるようにする。
①と②は指導者がきちんと役目を果たさなければなりません。
子どもは優秀ですので、受けてもらった高さなどの感覚をすぐに覚えます。基準を与えてあげましょう。
まとめ
今回は剣道を始めたての子ども向けに、二挙動の正面素振り稽古について紹介しました。
- 二挙動素振りの方法
- 二挙動素振りのメリット
- 二挙動素振りの指導法
二挙動素振りをすることで、子どもは焦らず、やるべきことを理解して稽古に取り組むことができます。
指導する時は、手本や基準を子どもに与えてあげて、明確な目標設定をしましょう。
ちゃんとできるようになったら、一挙動の正面素振りへと移行し、より高いレベルで素振りできるようになりましょう!
以上ケンドーショーダンでした。